2010年1月1日金曜日

”サイクロンHEX”を開発し、発売しました!
これは「内外圧力差自動解消+高効率集塵+熱交換による廃熱利用」の3機能を同時に実現するためのFEForced Exhaust)式ペレットストーブ用サイクロン式二重給排気管システム(CYCRON-HEX-FPS: Heat Exchangeable Double Wall Cyclon Flue system for Forced Exhaust type Pellet Stove)です。
このシステムによりペレットストーブの重要な問題点を同時に解決してしまいました。


●内外圧力差解消

 FE式ペレットストーブは強制排気ファンにより燃焼排気ガスを屋外へ強制的に排出します。

室内の空気を燃焼に使用し排出するため、室内は外気圧に対して負圧になります。その外、部屋の空気はキッチン、トイレや風呂場の排気ファンなどにつながっていることが多いので、常に負圧になりがちです。高気密住宅では本来吸気量と排気量をバランスさせる第一種換気システムが必要ですが、設備費が高価なため、昔ながらの排気ファンのみの第三種換気システムの住宅が多いのが現状です。これらの排気ファンによっても高気密なほど室内は急速に負圧になってしまいます。

 室内が負圧になると、通常運転では二次燃焼空気を取り入れる役割を併せ持つ燃焼室のガラスドアの隙間、燃料タンク、着火ヒーターの隙間を通じて部屋へ燃焼ガスが逆流する力が働きます。この負圧は体感されない範囲ですがストーブに備わっている差圧センサーによりストーブの運転が自動的にストップしたり、燃焼ガスが逆流してストーブから漏れ出してくるのを見て初めて気付いたりします。

 しかし、負圧を解消させるために窓を開けたり、大きな換気口を付けたりすると当然冷気が室内に流入し、暖房する目的でストーブを使用することに逆行する訳で、不快であるばかりでなくエネルギーの無駄使いにもなります。

 FFForced Flue Exhaust)式ペレットストーブではこのようなリスクを避けるために燃焼に使用する空気を外気から取り入れます。FF式で外気を使用する場合の問題点は寒い日には着火しにくく安定した燃焼が得にくいことです。又、固体燃料を使用しているので、完全気密でリークの無い本当のFF式を実現するのは困難で、室内負圧の影響を受ける擬似FF式が多いのです。本当のFF式であれば密閉された部屋の換気扇を回しっ放しにしても何の変化もありませんが、少しでも影響受けるストーブは擬似FF式なので注意する必要があります。

 木を燃やすときは燃焼用の空気温度が高い方が燃えやすいです。木は一旦ガス化してから燃えるので、外気より温度の高い室温空気の方がガス化しやすく火が付き易い訳です。この点でFE式はFF式に勝っています。室内負圧を自動的に解消できれば燃焼方式としてFF式より優れたFE式ストーブを安心して導入できます。


●集塵機能

 FF式では二重給排気管が壁から出しっぱなしで立ち上げないことが多いです。

燃焼用空気に排気ガスが混ざっても問題ないFF式ではこのようなシンプルなシステムが可能ですが、この場合の問題点はオレンジ色の火の粉が管の出口から噴出してくることです。煤塵により周辺を汚すばかりでなく、火の粉が見えるので火災の危険性もあります。

 このシステムでは火の粉を含む煤塵を除去するために集塵能力の衰えないサイクロンを用いました。サイクロンの出口は垂直に立ち上げ、口径を大きくして(12cmφ)空気抵抗と流速を落とし、僅かですがドラフトを利用できるようにしました。

僅かなドラフトは万が一の停電でストーブに火種が残っていてもゆっくり排気ガスを屋外へ流す力を残します。オーガーを通じて燃料タンクの方向や室内方向へ排気ガスを流す圧力を解消する狙いも兼ねています。

 木質系ストーブの場合煙突掃除は必須です。ペレットストーブの場合木粉を固めて作っており、

火の粉や灰が横引き管に溜まります。全木ペレットの場合樹皮部が含まれているので、ホワイトペレットの5~10倍溜まります。このサイクロン集塵は煙突掃除を超簡単に済ませるシステムといえます。サイクロンHEXを抜き取り、ストーブと排気システムをくまなく清掃できます。この大口径(12cmφ)はシステム全体に直接手を入れて清掃することも可能な太さです。すなわち素人でもはしごを掛けることも無く地上で完全なメインテナンスが可能なシステムです。


●熱交換

 ストーブから出ている横引き排気管とサイクロン集塵機はストーブの廃熱により高温になります。触れば火傷を負う可能性もあります。このシステムは火傷のリスクを軽減し同時に熱利用する熱交換機能を持ちます。横引き排気管とサイクロン集塵機周辺は空間を隔ててスチール製の外側管と角型箱に覆われています。角型箱の下部に開けた穴から外気が流入し、サイクロン壁の外側を廻り、二重管の間を通って室内に流入します。流入した空気はストーブの排気熱によって高温になっている横引き排気管とサイクロン集塵機の熱を奪って加熱され室内に流入します。廃熱が有効利用され省エネになり、同時に換気用冷気流入の不快を避けることができます。


 今回製作したペレットストーブ用サイクロン式二重排気管は上記3つの機能を併せ持ち、全ての問題を自動的に解消させるためのシステムです。負圧の原因が何であれ負圧になれば自動的に二重管の間から外気が流入します。ストーブを使用している間は廃熱を吸収して加熱された新鮮な空気が室内へ流入します。火傷のリスクが少なく、排気口の周辺も汚れにくく、しかもメインテナンスが簡単です。


 FF式とFE式はメカニズム的には大きな違いがあるわけではありません。FF式にサイクロンHEXを適用する場合はストーブ本体の燃焼空気取り入れ口のパイプを室内に開放するだけでFE式にすることができます。FF式排気の煤塵や火の粉にお悩みの方はサイクロンHEXをお試しください。2009年12月有限会社河西より発売しました。


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