2009年9月27日日曜日

FE式ペレットストーブ用熱交換二重給排気管試作

一ヶ月くらいブログを更新しなかったので、入力の仕方を忘れてしまいました。でもやっと・・・

わが家ではイタリア・テルモロッシ社製ペレットストーブ・エコサーモ3001イージーを使用しています。これは今年一月に撮った写真です。ペレットストーブの気楽な点は薪調達を考える必要がないこと、周囲にカーテンがあっても気にならない・火災の危険がないことと、簡単な排気管で済み掃除が楽であることです。ログハウスなので高気密とは言えず、24時間換気システムがありながら、作動させる必要性がありませんが、僕としてはどんな住宅でも心配なく使用できるユニバーサルな給排気システムを開発したいと常々思っていました。

このような思いからFEForced Exhaust)式ペレットストーブ用二重給排気管(HEX-DWF-FEPS-1: Heat Exchangeable Double Wall Flue for Forced Exhaust type Pellet Stove)を試作しました。その屋外部の全景がこの写真です。

FE式ペレットストーブは強制排気ファンにより燃焼排気ガスを屋外へ強制的に排出します。室内の空気を燃焼に使用するため、室内は外気圧に対して負圧になります。部屋の空気はキッチン、トイレや風呂場の排気ファンにつながっていることが多いです。高気密住宅では吸気量と排気量をバランスさせる第一種換気システムが本来は必要ですが、設備費が高くなるので、排気ファンのみの第三種換気システムの住宅が多いです。これらの排気ファンによっても室内は急速に負圧になります。室内が負圧になると、燃焼室から部屋へ燃焼ガスが逆流する力が働きます。普通圧力差は体感されないので、燃焼ガスが逆流してストーブから煙が漏れ出してくるのを見て初めて気がつく様なことが報告されています。

FFForced Flue Exhaust)式ペレットストーブではこのようなリスクを避けるために燃焼に使用する空気を外気から取り入れます。FF式の外気を使用する場合の問題点は寒い日には着火しにくく安定した燃焼が得にくいことです。FF式はガス燃焼などには適していますが、木の燃焼には最適とはいえません。

木を燃やすときは燃焼用の空気が暖かい方が燃えやすいです。木はガス化してから燃えるので、少しでも暖かい室温空気の方がガス化しやすく火が付き易い訳です。この点でFE式はFF式に勝っています。室内負圧を自動的に解消できれさえすればより優れたFE式ストーブを安心して導入できます。


負圧を解消させるために窓を開けたり、大きな換気口を付けたりすると当然冷気が室内に流入し、暖房する目的でストーブを使用するのに逆行する訳で、不快であるばかりでなくエネルギーの無駄使いになります。


今回製作したFE式ペレットストーブ用二重給排気管は全ての問題を自動的に解消させるためのシステムです。負圧の原因が何であれ負圧になれば自動的に二重管の間から外気が流入します。ストーブを使用している間は廃熱を吸収して暖かくなった新鮮な空気が流入します。すなわち熱交換が有効に働くわけです。


FF式では二重給排気管は壁から出しっぱなしで立ち上げないことが多いです。燃焼用空気に排気ガスが混ざっても問題ないFF式ではこのようなシンプルなシステムが可能ですが、この場合の問題点はオレンジ色の火の粉が管の出口から噴出してくることです。僕は火の粉が噴出すストーブは嫌いです。

FE式では排気ガスと吸気ガスの混合は避けなければならないので、煙突を少し立ち上げます。この少しの立ち上げが火の粉を消すばかりでなく、ドラフト利用の利点を確保させてくれます。万が一の停電でストーブに火種が残っていてもゆっくり排気ガスを屋外へ吸い出す力を残します。オーガーを通じて燃料タンクの方向や室内方向へ排気ガスを流したくないのです。このような考え方により垂直管は二重管とし空間はアルミフォイルによる反射断熱しました。この試作では50cmの立ち上げですが、排気口の位置を燃焼室より高くしたほうが良いので、1mにした方が良いです。


木質系ストーブの場合定期的な煙突掃除は必須です。ペレットストーブの場合木粉を固めて作っており、火の粉や灰が横引き管に溜まります。全木ペレットの場合樹皮部が含まれているので、ホワイトペレットの5~10倍溜まります。以下の写真5枚はこの煙突掃除を超簡単に済ませるシステムの説明です。

まず「熱交換エルボカバー」を開けます。(後面、両側面、下面メッシュが外れる仕組みになっています)。ねじ無しでカチャンとはまる方式です。メッシュは虫が室内に侵入するのを防ぎます。)



上のカバーを外すと、次の写真のようになります。(右下に転がっているのは以前開発したサイクロンドラムの導入部付き蓋です。)


次にペレットストーブ専用パイプ(1.2mm厚、内面琺瑯びき、直径8cm)のエルボ部分を8mm用六角レンチで開けます。簡単に できます。













蓋を取り外すと、横引き管に溜まった燃えカス・灰を開口部付近は直接目視できます。実際には暗くて奥までは見えないのですが、掃除機の吸い込み口に横引き管と同じ長さに切ったホースを繋ぎ、差し込んでゆくと即座に全ての溜まり灰と燃えカスを吸い取れます。縦引き管にはあまり煤は付きませんが、これもついでに掃除してしまいます。


後半の写真を見ると二重管の隙間から室内へ空気が流入して行くシステムを想像できると思います。


昨年一冬の横引き管内に溜まった灰の量は上伊那森林組合製の全木ペレット使用で約250グラムでした。この量から推測すると使用頻度や、燃料の種類によりますが、2ヶ月に一度の割で掃除すれば充分かと思われます。

このように今回ご紹介したシステム(HEX-DWF-FEPS-1: Heat Exchangeable Double Wall Flue for Forced Exhaust type Pellet Stove)は、自動的負圧解消・熱交換による廃熱有効利用・ドラフト利用・簡単メンテナンスを全て解決する排気システムです。試作品の実験結果が良好だったので僕の会社の標準給排気システムの一つに加えます。