2010年2月4日木曜日

ペレットストーブは「こんな使い方をされたら嫌だ!」と思っています。


ペレットストーブ「こんな使い方をされたらだ!」思っています

二つの点を意識して優し使いましょう!


その1:

ペレットストーブは木を原料にした燃料を燃やす燃焼機器なので、特に注意しなければならないことが一つあります。木が低温で燃焼しているときは不完全燃焼の状態で、木酢も蒸気として出てくることです。木酢は酸性なので金属表面に長時間残留すると金属を腐食させます。これが燃焼室・排気管の寿命を左右する最も大きな要因です。

燃焼室内の表面に錆が出てきてしまう現象を体験したことはありませんか?

ヨーロッパやアメリカでは木を燃焼させるボイラーを使用するとき、湯の温度が60℃に上がるまでは温水をボイラー内で循環させ決して熱を消費させないシステムを組みます。着火後最短時間で60℃以上にする水・木酢燃焼室内表面結露しません。循環して戻ってくる温水が63℃になるよう自動的にコントロールするサーモスタットを使用した自動混合三方弁(LADDOMAT21など)が普及しています。ボイラーを錆から守ることを最優先しています。

実はペレットストーブも原理は同じです。60℃以下では水・木酢・煤が燃焼室内表面に結露付着します。ボイラーでは煤が1mm付着すると熱効率が5%落ちるといわれています。煤を付けない燃焼のさせ表面を腐食から守り熱効率を良くする訳です。着火後まだストーブが冷たく煤が金属表面に付く段階では「まだストーブ自身がウォーミングアップされていないから早く熱くしなければいけない!」とお考えください。この現象を最に抑える方法はボイラーと同じです。強火で短時間燃焼室を加熱します。

小さな部屋の場合やあまりくない程度の季節には火力を最小にして運転時間を短くする傾向がりますが、このような場合ストーブ自体のウォーミングアップ不足になるので、水・木酢・煤が結露したまま温かい季節を迎えることがあります。そのまま梅雨の時期になると知らない内に燃焼室内に錆が浮き上がってきます。

このような結露のリスクを回避するのには表面に結露させないことを常に念頭に置くことですが、実際には以下のような運転を心がければ良いです。

  1. 日常着火時には一旦比較的火力を強く設定して、ストーブ自体が温まってから適切な火力に落とす。AUTO運転モードがある機種では自動的にそうなります。)

  2. 運転する前にキッチンブラシで表面に付着した煤を綺麗に落としておく。

  3. 暖かくなり、その季節最後にストーブを使用するとき、最終回は強い火力でストーブが充分加熱された状態でスイッチを切り休眠させる。


最先端のペレットストーブが蓄熱型から速熱型に変化してきているのは低温不完全燃焼時間を短縮し、ローエミッションを達成するためです。


その2:

モーターに余計な負荷を掛けないよう燃焼系の気道をきちんと確保しましょう。


  1. キッチンなどの換気扇を付けっぱなしにするとストーブの炎が乱れるのを経験したことはありませんか?こんなときの炎の乱れ、逆流や不完全燃焼は室内が燃焼室に対して負圧になるためです。自動的に負圧を解消する吸気口を必ず設けましょう。いわゆるFF式と謳われているペレットストーブも厳密にはFF式ではありません。室内が負圧にならないよう注意する必要があります。キッチンなどの換気扇を最強で回し続けても影響がないことを確認してください。


  1. ペレットストーブに使用するペレットは木の粉を固めて作るため、火の粉が排気管に到達し溜まります。溜まり過ぎると気道を狭めるので排気し難くなって行きます。「クリーニングしなさい」や「オーバー・プレッシャー」の表示がでるときはこのようなケースが多いです。よく冷やしてから排気ファン前後に溜まった灰や燃えカスを徹底的に除去してください。特に排気ファンの入り口に溜まった灰の掃除を忘れている人が多いです。排気ファンへの負荷を少なくするとモーターの寿命が伸び性能を維持できるばかりでなく、省エネになり高効率な完全燃焼を維持するのに大変重要です。シーズンが終わったとき、必ず一度清掃してください。


参考)当社が開発・発売した“サイクロン・HEX”は1)の問題を自動的に解消し、2)の清掃も簡単に出来る構造になっています。


3)燃焼皿とその周辺はキッチンブラシと竹串を使っていつもできるだけ綺麗にしておましょう。燃料の種類や燃やし方によりクリンカーの量はかなり変わります。炎に鋭さが無くなり揺らぎ始めたら、クリンカーにより通気穴が塞がれていることを示しています。できるだけ早く掃除しましょう。放置しておくと不完全燃焼や燃料が積み重なりバックファイヤーの危険にもつながります。



河西広実

平成222


2010年1月1日金曜日

”サイクロンHEX”を開発し、発売しました!
これは「内外圧力差自動解消+高効率集塵+熱交換による廃熱利用」の3機能を同時に実現するためのFEForced Exhaust)式ペレットストーブ用サイクロン式二重給排気管システム(CYCRON-HEX-FPS: Heat Exchangeable Double Wall Cyclon Flue system for Forced Exhaust type Pellet Stove)です。
このシステムによりペレットストーブの重要な問題点を同時に解決してしまいました。


●内外圧力差解消

 FE式ペレットストーブは強制排気ファンにより燃焼排気ガスを屋外へ強制的に排出します。

室内の空気を燃焼に使用し排出するため、室内は外気圧に対して負圧になります。その外、部屋の空気はキッチン、トイレや風呂場の排気ファンなどにつながっていることが多いので、常に負圧になりがちです。高気密住宅では本来吸気量と排気量をバランスさせる第一種換気システムが必要ですが、設備費が高価なため、昔ながらの排気ファンのみの第三種換気システムの住宅が多いのが現状です。これらの排気ファンによっても高気密なほど室内は急速に負圧になってしまいます。

 室内が負圧になると、通常運転では二次燃焼空気を取り入れる役割を併せ持つ燃焼室のガラスドアの隙間、燃料タンク、着火ヒーターの隙間を通じて部屋へ燃焼ガスが逆流する力が働きます。この負圧は体感されない範囲ですがストーブに備わっている差圧センサーによりストーブの運転が自動的にストップしたり、燃焼ガスが逆流してストーブから漏れ出してくるのを見て初めて気付いたりします。

 しかし、負圧を解消させるために窓を開けたり、大きな換気口を付けたりすると当然冷気が室内に流入し、暖房する目的でストーブを使用することに逆行する訳で、不快であるばかりでなくエネルギーの無駄使いにもなります。

 FFForced Flue Exhaust)式ペレットストーブではこのようなリスクを避けるために燃焼に使用する空気を外気から取り入れます。FF式で外気を使用する場合の問題点は寒い日には着火しにくく安定した燃焼が得にくいことです。又、固体燃料を使用しているので、完全気密でリークの無い本当のFF式を実現するのは困難で、室内負圧の影響を受ける擬似FF式が多いのです。本当のFF式であれば密閉された部屋の換気扇を回しっ放しにしても何の変化もありませんが、少しでも影響受けるストーブは擬似FF式なので注意する必要があります。

 木を燃やすときは燃焼用の空気温度が高い方が燃えやすいです。木は一旦ガス化してから燃えるので、外気より温度の高い室温空気の方がガス化しやすく火が付き易い訳です。この点でFE式はFF式に勝っています。室内負圧を自動的に解消できれば燃焼方式としてFF式より優れたFE式ストーブを安心して導入できます。


●集塵機能

 FF式では二重給排気管が壁から出しっぱなしで立ち上げないことが多いです。

燃焼用空気に排気ガスが混ざっても問題ないFF式ではこのようなシンプルなシステムが可能ですが、この場合の問題点はオレンジ色の火の粉が管の出口から噴出してくることです。煤塵により周辺を汚すばかりでなく、火の粉が見えるので火災の危険性もあります。

 このシステムでは火の粉を含む煤塵を除去するために集塵能力の衰えないサイクロンを用いました。サイクロンの出口は垂直に立ち上げ、口径を大きくして(12cmφ)空気抵抗と流速を落とし、僅かですがドラフトを利用できるようにしました。

僅かなドラフトは万が一の停電でストーブに火種が残っていてもゆっくり排気ガスを屋外へ流す力を残します。オーガーを通じて燃料タンクの方向や室内方向へ排気ガスを流す圧力を解消する狙いも兼ねています。

 木質系ストーブの場合煙突掃除は必須です。ペレットストーブの場合木粉を固めて作っており、

火の粉や灰が横引き管に溜まります。全木ペレットの場合樹皮部が含まれているので、ホワイトペレットの5~10倍溜まります。このサイクロン集塵は煙突掃除を超簡単に済ませるシステムといえます。サイクロンHEXを抜き取り、ストーブと排気システムをくまなく清掃できます。この大口径(12cmφ)はシステム全体に直接手を入れて清掃することも可能な太さです。すなわち素人でもはしごを掛けることも無く地上で完全なメインテナンスが可能なシステムです。


●熱交換

 ストーブから出ている横引き排気管とサイクロン集塵機はストーブの廃熱により高温になります。触れば火傷を負う可能性もあります。このシステムは火傷のリスクを軽減し同時に熱利用する熱交換機能を持ちます。横引き排気管とサイクロン集塵機周辺は空間を隔ててスチール製の外側管と角型箱に覆われています。角型箱の下部に開けた穴から外気が流入し、サイクロン壁の外側を廻り、二重管の間を通って室内に流入します。流入した空気はストーブの排気熱によって高温になっている横引き排気管とサイクロン集塵機の熱を奪って加熱され室内に流入します。廃熱が有効利用され省エネになり、同時に換気用冷気流入の不快を避けることができます。


 今回製作したペレットストーブ用サイクロン式二重排気管は上記3つの機能を併せ持ち、全ての問題を自動的に解消させるためのシステムです。負圧の原因が何であれ負圧になれば自動的に二重管の間から外気が流入します。ストーブを使用している間は廃熱を吸収して加熱された新鮮な空気が室内へ流入します。火傷のリスクが少なく、排気口の周辺も汚れにくく、しかもメインテナンスが簡単です。


 FF式とFE式はメカニズム的には大きな違いがあるわけではありません。FF式にサイクロンHEXを適用する場合はストーブ本体の燃焼空気取り入れ口のパイプを室内に開放するだけでFE式にすることができます。FF式排気の煤塵や火の粉にお悩みの方はサイクロンHEXをお試しください。2009年12月有限会社河西より発売しました。