2009年8月18日火曜日

なぜイタリアではペレットストーブがヒットしたか?

なぜイタリアではペレットストーブがヒットしたか?

日本で普及させるにはどうしたらよいか?

世界で最もペレットストーブが普及している国イタリアでは既に約100万台のペレットストーブが使用されています。一方、日本では約1万台に止まっています。日本では1020万台売れると商品が一人歩きし始めるヒット商品と言われます。イタリアでは北欧や北アメリカを凌ぐヒット商品に成長しましたが、なぜ日本ではなかなか普及しないのかを考えてみる必要があります。

 ペレットストーブの燃料は木質ペレットです。化石燃料に換わる環境に優しい燃料として世界中で注目されています。ペレットストーブとペレット燃料は車の両輪で、それぞれがちゃんとしたものでなければ良い結果がでません。幸いイタリアでは1995年頃の開発の最初の段階からテルモロッシなどの優れたペレットストーブが発表されてきたので、まず「ペレットストーブは素晴らしい!」と評価されました。それが現在の大衆向け製品として受け入れられた理由です。なぜ最初から優れた製品を発表できたのか?それはアルプス山脈周辺ではずーっと薪を燃料として使用し続けてきた文化があり、戦後日本のように全面的にガスや石油の文化に乗り換えてしまわなかったからです。木の燃焼について熟知している人達が開発しているので、ペレットストーブという新分野でも最初から木の燃焼理論に忠実に作れたと考えられます。熟知しているが故に完全燃焼、高効率燃焼を達成するための燃料供給量と酸素供給量の比率を手動調整という安易な方法に委ねませんでした。いろんな人が使用する器具で、手動では皆が燃料供給量と酸素供給量の最適比率条件で使用できるという事はあり得ないからです。手動で各自勝手に燃料供給量と酸素供給量を決めると、「ゆらゆら灯る火が好きだ」という個人的趣向から不完全燃焼を引き起こし知らずに一酸化炭素を排出したり、がんがん燃やしてもなかなか温まらないので更に燃料供給を増やし酸欠になったり、ストーブ自体がオーバーヒートして火災の危険に曝されたりすることが考えられます。ですからイタリアでは最初から燃料供給量と酸素供給量はマイクロプロセッサによって自動的に最適比率が設定される仕組みです。燃料の種類や使用される条件により多少設定値を変更できる程度です。

 優れた製品を生み出せた他の原因としては日本同様に車産業が発展していて、金属加工技術FAが進んでいる事と、イタリア特有の優れたデザイン性があげられます。ペレットストーブは快適なインテリアの一部でなくてはなりません。夏でも存在していて快適に感じるデザイン性が求められています

 ヨーロッパではペレット自体オーストリア規格を基に高品質で安定した品質のものが普及しているため、誰でもどこでも安心して購入する事ができます。木を燃やすことの難しさや問題点を長年の経験と失敗に基づいて育ててきた規格です。日本では着火しにくい場合とか、煤や灰が多い場合がよくあります。このようなときにはまずペレットの品質を疑ってみる必要があります。

 日本でペレットストーブを普及させるためには上記の条件を一つずつクリアして行く必要があると考えます。ペレットも、ペレット燃焼機器も過去に外国で経験された失敗を繰り返さないために、生産開始前にこの規格をよく学ぶ必要があると考えます。ペレットは形ばかりでなく中身がもっと重要だということを認識する必要があります。ペレットストーブもヨーロッパ製品をよく分析する必要があります。



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